考えるサッカーは色褪せない~あるクラブの Homecoming Day
【写真】これは10年前だよ
以前、息子たちが小学生だった頃、私は、息子の小学校のサッカーチームで、お父さんコーチをやっていました。
完全無給のボランティアであったけれど、子どもたちの頑張る姿に感化され、随分エネルギーを注いだものでした。
そのサッカークラブが、年に一度、OB/OG、それから私のようなかつてのコーチなんかも迎えて、ホームカミングデーをするのです。
現役のコーチに声をかけてもらい、2年ぶりに参加しました。
今年は、私が6年生の監督をしていた時から、ちょうど10年になります。
6チームの二部リーグで、5勝1分。
得点14、失点0。
圧倒的成績で一部に昇格したそのチームは、今や語り草になっています。
というのも、このクラブが一部に在籍したのは、後にも先にもその一度しかないからなのです。
これから話すことに、自分のコーチとしての手腕が、と言うつもりはサラサラありません。
そうではなくて、彼ら彼女ら(そのチームには女の子も混じっていたのです)が、スーパーで、スペシャルだったんだ、ということを言いたいのです。
それは、高校生のOBとのゲームで際立っていました。
現役サッカー部に所属している高校生のOBは、おそらく人生で最高にサッカーが上手い時期です。
もちろん、プロを目指し、大学でもガチの体育会でトレーニングを続けているなら別ですが、アマチュアのサッカー選手のピークは高校生だと言ってしまっても、99%ぐらい正しいです。
で、対するは、大学4年になってそろそろいろんなところがぽにょぽにょし始めているこの連中(私の教え子たち)。
そりゃまあ、不通に言えば敵う訳ない、というか、けちょんけちょんにやられるトコロです。
予想どおり、最初は、キレッキレでスタミナがあって個人技でも勝る高校生に、振り回されていました。
ところが次第に、持ち直してきたのです。
アタマを使い、球を散らし、大きな展開で前後左右に高校生を揺さぶって走らせ、大声でコーチングしながら完璧に崩しきり、最終的には何と逆転勝ちしてしまいました。
どんどん連携が良くなり、何より、とても楽しそうに仲間と戦っている彼らの姿に、周囲で見ているコーチ連中も舌を巻きました。
そう、この連中は、サッカーの何たるかを知っているのです。
アタマを使って課題に挑み、失敗すればまた修正し、それを仲間で共有する。
そういう自立的でクリエイティブな作業を、プレーの中で自然にやれるのです。
私が10年前に「アタマの悪い奴は絶対にサッカーが上手くならない。だからどんな時も、頭をフル回転させなさい」と教えたことを、まさに体現してくれたのでした。
例によって、近くの銭湯でひとっ風呂浴びた後、OBがバイトしている飲み屋で終電まで飲みました。
大人になって、すっかりこっち側になった彼らとも飲めて、無茶苦茶嬉しかったなぁ。
私は、彼らと一緒に、かけがえのない日々を過ごせて、つくづく幸せだったよ。