デジタルの力で高収益ビジネスを創出~DXレポート2.2の最新動向

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FUJITRA

IT week 春の「特別講演」を聴講してきました。

先進事例で考えるDXレポート2.2の最新動向
~ デジタルの力で新たな高収益ビジネスを創出し続けるために ~

富士通(株)の福田譲執行役員が、DXプロジェクト「フジトラ」を紹介していましたが、いろいろ示唆に溢れるハナシがあったので、備忘を兼ねてここにアップします。

 

イントロ by和泉憲明@経済産業省

経産省では、DXレポート、DXレポート2、DXレポート2.1に続いて、「デジタル産業への変革に向けた研究会」を立ち上げ、DXレポート2.2をとりまとめ中。

DXレポートで「DX」という言葉をコモディティ化したが、わかりやすさを求めて手段やツールが着目されてしまう弊害もあった。
DXの理解を深めるために、「フジトラ」プロジェクトを題材として、DXのあるべき方向性について議論する。

 

DXプロジェクト「フジトラ」の紹介 by福田譲@富士通(株)

DXとは? (2019.7のDXレポートそのままに定義)

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務プロセスや組織、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

入山章栄教授@早稲田大学ビジネスクールが言っているように、経路依存性(われわれの今いる社会、会社、組織はいろんな要素で成り立っていて、それがガチっと噛み合っているからスムーズに回るが、噛み合っているがゆえにどこか一箇所が時代に合わなくなり変えようとしても残りは噛み合ったままなので変われず、足を引っ張る現象)がある。

ゆえに富士通では、「チョロチョロとやらず、全取っ替え」という方針。

 

4つのX

4つのX:

  • CX(Customer Experience、事業の変革)
  • EX(Employee Experience、人組織の変革)
  • OX(Operational Excellence、オペレーションの変革)
  • DX

これが全部そろわないとだめ。

 

Fujitsu Way

  • パーパス
  • 大切にする価値観
  • 行動規範

の3つで構成される「Fujitsu Way」を明文化。

 

パーパス(社会における富士通グループの存在意義):

「私たちは、イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界を持続可能にしていきます。」

創業84年で初めて決めた。

大切にする価値観:

  • 挑戦
  • 信頼
  • 共感

行動規範(日々の活動において社員一人ひとりがどのように行動すべきかの原理原則)

  • 人権を尊重します
  • 法令を遵守します
  • 公正な商取引を行います
  • 知的財産を守り尊重します
  • 機密を保持します
  • 業務上の立場を私的に利用しません

 

事業ポートフォリオも

顧客が求めたことを全てやる → パーパスに沿ったものしかやらない

と変更。

Fujitsu unvance

「この7つの領域以外はもうやらない」と、具体的に宣言。

  • Sustainable Manufacturing
  • Consumer Experience
  • Healthy Living
  • Trusted Society
  • Digital Shifts
  • Business Applications
  • Hybrid IT

 

全社DXプロジェクト「フジトラ

全社DXプロジェクト「フジトラ(Fujitsu Transformation)」は、2020年7月にキックオフ。

  • ステアリングコミッティ
  • DXデザイナー
  • DXオフィサー
  • DXコミュニティ(フジトラクルー)

の4階層で構成され、取組中のテーマは現在150(待ちテーマは200)。
これらを3ヶ月に1度変えていく→その結果、富士通が変わっていく

  • 経営のリーダーシップ[CEO/COO/CFO/CIO]
  • 現場の叡智を結集[各部門の役員がDX Officerを指名]
  • タテ[経営~現場] x ヨコ[部門横断]
  • 現場が主役、全員参加
  • カルチャー変革

がポイント。
『経営・業務』の標準化(目的)を『IT』で行う(手段)

 

例えば変革は、HRにも及んでいる。

中長期的な成長に向けた人材戦略ということで、ジョブ型人材マネジメントを採用している。
これまでは、組織が配置転換/ローテーション/昇格を計画・実行していたが、これを、本人が実現したいキャリアプランを自律的に考えポスティングで異動や幹部社員昇格を目指す方向に変えた。
(要は、カイシャは「指示」を辞めた。)

 

対談

「Fujitsu Voice」という、社内SNSを活用してDXを推進している。
Fujitsu Voice はものすごくアクティブで、従来の「上司を通じたバケツリレーコミュニケーション」の撤廃に成功した。
こんなものは、AIが集めてワードクラウドにまとめれば技術的に出来るが、多様性を力に変える経営を目指す「カルチャー変革プラットフォーム」として機能するかどうかが鍵だと考えている
(福田@富士通)

 

現場を回っていてよくあるのは、

  • トップの理解がありません
  • 現場の抵抗勢力が反抗的でDXが全然推進できません
  • デジタル人材が居ません

というような、ITの問題ではなく、どちらかというと経営の問題が表面化することが多い。
「Fujitsu Voice」で、「自分でもDXとはよくわからない」、「俺だって変わらなくていいものだったら変わりたくない」という社長のボヤキを見ると、社員は安心する。
アップルのジョブズのように性格が破綻している方が優れた経営者なのかもしれないが、トップが人格者で「敵対するのではなく隣に並び、話し合いを通じて、一緒に悩むスタンス」は、日本式カイシャ経営に向くのではないか。

(和泉@経産省)

 

グローバル市場で、メイドインジャパンのクルマは売れるが、新幹線は失注しまくっている。
ということは、技術が高いだけでは勝てないということ。
イノベーションと持続可能性は両立するか?というのは答えの難しい課題だが、これを目指す富士通の姿勢は立派だ。
(和泉@経産省)

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