DX革命~中小企業が勝ち残るためにいまやるべきこと

Pocket

大前研一

大前研一さんの Chatwork DXカンファレンス基調講演(ウェビナー)を視聴しました。

流石の切り口で、とてもよくDXを語っていたので、備忘のためにここにアップします。

DXとは、単にITやデジタル技術を取り入れるといった、単純なことではない。
デジタルテクノロジーを用いて、21世紀型企業に変革を図る、これこそがDXの本質である。

今後は、どの企業もCDO(Chief DX Officer)が必要。
もちろん、中小企業も例外ではない。

要は、DXしなければDXした会社にやられて死亡しますよ、ということです。

新興の企業たちによるDXの実際

中国は、「ライブコマース」がすごいことになっている。
芸能人などネットのインフルエンサーは、5分で口紅を数十億円売り、キックバックを数億円得る。
そういう商売をしている。

中国の大手保険会社「平安(ピンアン)保険」は、無料アプリ「平安好医生(グッド・ドクター)」を提供している。
このアプリでは、オンラインで問診ができ、クチコミや評価を見ながらドクター単位で受診予約ができ、処方薬・サプリ・処方不要の漢方薬ならECで買える。
医者がいいかげんで、沢山待たされることが普通な中国では、大人気を博している。
ちなみに、日本は「対面が大前提」の医薬法がネックで、同様のサービスを提供するのは無理。
教育の分野でもそうだが、日本の法整備はディジタル時代に全く合っていない。

Amazonの一人勝ち状態で米の小売業界は壊滅的だが、Walmartは、DXの起死回生策があたり一矢報いている。
それが、BOPIS(Buy Online, Pick-up In Store)。
オンラインで購入手続きし、店舗で商品を受け取る仕組み。

従来のアパレル業界は、新作で売れるのは1/3だけ、売れ残りの2/3をアウトレットやバーゲンで叩き売りする、というビジネスモデルだった。
これを劇的に改善したのは、airCloset(エアークロゼット)。
売れ残ったアパレルを定額で安く着ませんか?という「余りモノのサブスクモデル」を導入。

 

アナログからディジタルに脱皮した会社も多い

米Netflixは、リード・ヘイスティングスによって1997年創業。
もとはレンタルビデオ屋(アナログ屋)だったが、顧客のレンタル履歴をデータ解析(DX)し、レコメンドで儲け、最終的にはコンテンツ屋に化けた。
今や、オリジナルが配信コンテンツの半分超となっていて、超優秀企業。

日本のリクルート社は、紙媒体(アナログ)からweb(ディジタル)へ変身。
社員は38歳で退職させられるので、入社直後から必死に15年で「次の飯のタネ」を探す。
退職時のプレゼンが良ければ、リクルート社が出資もし、CEOに収まることもできる。
海外投資も積極的で、20社を600億円で買収(売上1,000億円超)

日本交通(タクシー会社)の川鍋一朗会長は、配車アプリ”GO”でUberに対抗。
最近は、DeNAの”MOV”も統合し、既存顧客を囲い込んでいる。
これは、制度に守られている例でもる。

 

特にイノベーティブなFintechには注目

オンライン決済の米Stripeは、ユニコーンの可能性が筆頭。

BNPL(Buy Now Pay Later、要は「ツケ買い」)の流れも注目に値する。
米スクエアはAfterpay@豪に投資。
日PaidyはPaypalが買収した。
他には、Klama@スウェーデン、Affirm @米などが注目。

株式売買の米ロビンフッドは、コンピュータによるHFT(high-frequency trading、高頻度取引)から数セントのリベートを取るビジネスモデルで、一般マス顧客の手数料は無料。
しかも、1株未満の端株取引も可能で、まさに大衆の味方「ロビンフッド」で、若者に大人気。

越境送金関連のFintechが目立つのは、銀行がだめなアフリカ勢。
サファリコム@ケニアとか。

自社がAPIで取引先とデータ連携すれば、決済条件などを柔軟に変更できるので、どんな会社でも「プチ金融業」ができる時代だと言っていい。
例えば、取引先が支払いを1ヶ月遅らせてほしいというなら、金利相当分を上乗せして支払いを1ヶ月猶予することも、API連携で簡単にできるが、これなど本質的には「金融業」と変わらない。

DXの本質を見誤るな

DXとは、リアル→オンラインの単なる移行ではない。
ゼロベースで、「今日新たにこの会社を作ったらどうサービスするか」と、川下から考えるクセをつけろ。

難しく考えるな、リラックスして考えろ。
例をよく見て、応用しろ。
既存社員で変革できないなら、高校生にインターンさせろ。

ユーザ、既得権益者、行政を巻き込む視点が大事だ。

21世紀に生き残るためには、イーロン・マスク、ジャック・マーなど、突き抜けた人材が居るかどうかが、勝負の分かれ目になる。
これまでのように、馬力のあるそこそこの人材が沢山居るという「古い日本の経営スタイル」は、全く通用しない。

2040年にはシンギュラリティポイントを超えるのだから、人間は、見えないモノをみる「構想力」で勝負するしかない。

2000年の新・資本論(The Invisible Continent)で予言したとおり、これまでの「実体経済」に加え「ボーダレス経済」、「サイバー経済」(ディジタル側)、「マルチプル経済」(レバレッジが効いた世界)を意識して、「見えない大陸」を行くのが生き残りの秘訣だ。

今後は、どの企業もCDO(Chief DX Officer)が必要。
カンバン方式のエバンジェリスト大野耐一(トヨタの元副社長)を見習った方がいい。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA