偏執狂的シュルレアリスト、サルバトール・ダリの世界

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突然ですが、私はダリの熱狂的ファンです。

柔らかい時計

これは、拙宅のエアコンの上でとろけている時計です(笑)

 

また、ダリが東京にやってきました。

今回、新国立美術館@六本木で開催されるダリ展は、過去最大規模250点!もの作品が陳列されるという、10年前の生誕100年記念回顧展以来の気合の入れようです。

混雑必至ですが、準備万端、心して臨まねばなりません。

 

ダリが好きすぎてフィゲラスを2度も訪れた男の鑑賞遍歴

サルバトール・ダリとのそもそもの出会いは、高校生の時です。
美術の教師に貰った招待券で行った、渋谷の東急本店で、それはそれはものすごいショックを受けました。

もう、どこまでも果てしなく広がる平面やら足がナナフシみたいな「宇宙象」やら「柔らかい時計」やら「燃えるキリン」やら蟻んこやらトウモロコシやら、凄まじい描写力に裏付けられた圧倒的なイメージの洪水に、溺れそうでした。

シュールレアリスティックなアプローチに全く慣れていない、初心な高校生だった私は、

何この人、アタマおかしい!

と、ダリと恋に落ちてしまいました。

それ以来、狂ったようにダリを追っかけ、ダリの展覧会は関連のものも含め、悉く足を運んでいます。

この中で異彩を放っているのは、フィゲラスでしょう。
フランスとの国境付近、バルセロナから特急電車で2時間ほどの田舎町フィゲラスで、ダリは生まれました。
そこに、ダリ劇場美術館が忽然とそびえたっているのです。

もうね。
館の上に卵が並んでたり、中庭のクルマの中は大雨だったり、サイコーです。
説明するのが難しいので、興味があれば一度訪ねてみてください。
ダリが好きなら、一生の思い出になると思いますよ。

と思ったら、今はweb上にヴァーチャル・ツアーがあるんですね。

 

10年ぶりの大規模回顧展

展示数が多いと、なるほど作風の変化を年代別に丁寧に追うことができて、いいですね。
こんな感じで、テーマに沿って鑑賞できます。

  • 初期作品(1904-1922)
  • モダニズムの探求(1922-1929)
  • シュルレアリスム時代(1929-1939)
  • ミューズとしてのガラ
  • アメリカへの亡命(1939-1948)
  • ダリ的世界の拡張
  • 原子力時代の芸術(1945-1950s)
  • 晩年の作品(1960s-1980s)

同時に、個々の作品も、印象深いものがあります。
まあ堅苦しいことは美術評論家に任せて、インパクトのある作品をいくつかご紹介します。

 

奇妙なものたち

今回のキー・ビジュアル作品「奇妙なものたち」は、幻想的なシュルレアリスム炸裂、と言った趣ですね。

奇妙なものたち

《奇妙なものたち》
1935年頃、40.5 × 50.0 cm、板に油彩、コラージュ、ガラ=サルバドール・ダリ財団蔵 Collection of the Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan,2016

 

ポルト・リガドの聖母

福岡市美術館が買ったらしいポルト・リガドの聖母は、ため息のでる完璧な美しさです。

ポルト・リガトの聖母

《ポルト・リガトの聖母》
1950年、275.3 × 209.8 cm、カンヴァスに油彩、福岡市美術館蔵
© Salvador Dalí, Fundació Gala-Salvador Dalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

引き出しのあるミロのビーナス

「引き出しのあるミロのビーナス」は、いくつもレプリカが存在していて、以前何処で観たか失念していますが(笑)、再会が嬉しい!

引き出しのあるミロのヴィーナス

《引出しのあるミロのヴィーナス》
1936年(1964年に再鋳造)、100.0 × 29.8 × 27.9 cm、白く塗られたブロンズ、白てんの毛皮の房、サルバドール・ダリ美術館蔵 Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida

 

素早く動いている静物

素早く動いている静物との再会も楽しかった!

素早く動いている静物

《素早く動いている静物》
1956年、125 × 160 cm、キャンパスに油彩、サルバドール・ダリ美術館蔵 Collection of the Salvador Dalí Museum, St. Petersburg, Florida
© Salvador Dalí, Fundació Gala-SalvadorDalí, JASPAR, Japan, 2016.

 

ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌

ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌の筆致には、圧倒されました。

ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌
《ウラニウムと原子による憂鬱な牧歌》
1945年、66.5 × 86.5 cm、キャンパスに油彩、国立ソフィア王妃芸術センター蔵 Collection of the Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofía, Mdrid
© Salvador Dalí, Fundació Gala-SalvadorDalí, JASPAR, Japan, 2016.

貴重な映像の数々

映像も、貴重なものが多数紹介されていました。

アンダルシアの犬を2006年の展覧会で最初に観た時は、ブッ飛びました。
ダリの、アート・ディレクションが冴え渡る秀作。
噂に聞くとおりの、シュルレアリスムの傑作。
たった15分間のフィルムに、惹き込まれてしまいました。
いや、惹き込まれたなんてモンじゃありません。
あまりにダリ的イメージの奔流というか洪水に、最後には笑い出してしまったほどです。

今回目を引いたのは、ディズニーとのコラボ作品「Destino」です。

Destino / Walt Disney & Salvador Dali

 

また、記憶喪失を題材にしたヒッチコック監督の映画白い恐怖では、主人公が垣間見る夢のシークエンスを、ダリが全面的にデザインしたとのことで、これも興味深い!

Salvador Dali Dream Sequence from Spellbound

何れの作品も、ダリに最大限の敬意を払って好きに作らせた感があって、素晴らしい!

 

メイ・ウェストの部屋

極めつけは、「メイ・ウエストの部屋」。
これは、フィゲラスにあるオリジナルを再現したらしいです。

メイ・ウェストの部屋

正面から見ると、2つの絵画は目、暖炉は鼻、ソファはくちびるになって、メイ・ウエスト(アメリカの女優)の顔に見えるという作品です。

ここだけは、写真撮影可能でした。
ああ楽しい。

 

お土産

スーベニアショップでは、これを買ってしまいました。
「目覚めの直前、柘榴のまわりを一匹の蜜蜂が飛んで生じた夢」というタイトルなんですが、78年の最初に観た展覧会で一目惚れした、想い出の作品です。

榴蜜蜂夢

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